しもけんのエッセイ?!

© 2000 Kentaro Shimoda <shimoken@shimoken.net>

第3回 『ユーフォニアミストとしてのマルチプレーヤーのススメ。そして理想と現実』
(Oct. 21, 2000)

「マルチプレーヤー」この言葉をみなさんはどう感じるだろうか。
「器用」と思う人もいれば「浮気性」と思う一本気な人もいることであろう。

どこかで書いたように思うが、ユーフォニアムは音楽の現場で実にいろいろな役割を要求される。
一般にそれを要求される時、「トロンボーンのように」「テューバのように」「チェロのように」「オルガンのように」と いう表現が多々使われるが、そういったときどのようにしてその表現を満たしているだろうか。
一般にはその当該楽器の音を聴くなどしてイメージを浮かべることだろう。

だが、そこで実際にその楽器を手にしてみてはいかがだろうか。
確かに自分の専門とする楽器のようには扱えないと思う。なぜなら今の楽器でもここまで来るのには相当な高さの山を 登ってきているはずだから。
しかしながら、多少なりとも自分でその楽器を手にし、その楽器で音楽に参加することによっていままでただなんとなくで 感じていたその楽器のイメージというものが自分の中に確固たる経験、知識として身につくのではないだろうか。
その重要な経験の後に自分の楽器を手にした時、それは明らかな形で音楽に表れることであろう。

これを書いている筆者自身もユーフォニアムをはじめる前に3年間、決して上手ではないバンドではあったがテューバを吹き、 吹奏楽の根底を支えてきたことは非常に大きな財産であると思っている。

自分で(ユーフォニアムで)テューバ的な旋律を奏する時もさながら、テューバと合わせる時も相手のイメージが 実に鮮明なため合わせやすいのである。(当社比)

確かに世の中には唯一つの楽器だけをやってきていながらも実に多彩な音楽のできる人がいるが、 その裏には並々ならぬ努力が(そして場合によってさらに「才能」というものが)あるのである。

だがこの方法であれば時間はかかるものの、実にわかりやすい形で多様な音楽を身につけられることと思う。

私が具体的にこう思うようになったのはトロンボーンやリコーダーにも手を出し始めたつい最近のことだが、 実際やってみるとどんどんそれぞれの楽器のいろいろなものが自分の中に入ってくるのである。
そしてなによりユーフォニアムはアコースティック楽器の中ではもっとも新しい部類の楽器なのである。
それゆえ、楽器としての(重さとか大きさは抜きにして)制約があまりになさ過ぎるため、 要するに自由がきき過ぎるがゆえになかなか音のイメージが作りにくいのである。

その点諸先輩方(古くからある楽器たち)は制約だらけの楽器で歴史を歩んできたため、 またその制約の中で生まれた音楽をたくさん経験しているために音のイメージが作りやすいのである(と私は感じている)



ここまで書いてきたが、これを考える時に一つのたとえとして、かの名作RPG、
「ドラゴンクエストⅢ -そして伝説へ・・・-」(© ENIX、以下DQ)で考えてみたい。
(やったことない方ごめんなさい&ここからマニアックになります。ご了承ください。)

他の楽器の人が聞いたらなんと言うかわからないが、各楽器をDQの各楽器に置き換えた時、 ユーフォニアムが一番近いのは勇者であると思う。

冒険(楽器)をはじめたときはフルート、トランペットやテューバ、つまり戦士、僧侶、魔法使い(順不同)といった専門職 の方が早く成長し、たとえば同じ呪文(音のイメージ)でも勇者は身に付けるのが遅れてしまう。
さらに言えばLv16ぐらいまでは全職業中もっとも成長が遅い(上級職である賢者は除く)。

だがそうして成長していくうち、専門職の楽器達は職人の道に突入していくため徐々にLvが上がりにくくなるのだが、 そのころになるとベギラマやベホイミなどの有用な呪文を覚えるようになり、ようやく勇者としての資質に目覚めはじめ、 アストロンやライデインと言った固有の呪文、すなわちユーフォニアムならではの音を身に付けていくのである。

もちろんそう簡単にLvは上がらないのだが、ようやく成長速度もあがってくるのである。(Lv36で商人についで2番目の早さ)

なお、ここでひとつ断っておきたいが、ここではLv41以上の音楽家については考えていない。
なぜなら他の楽器であればLv60以上の音楽家も歴史上かなりの数がいると思うが、 ことユーフォニアムに関してはそういった音楽家が(相対的に)極めて少ない(と感じる)ため、 そしていかんせんこの楽器の活躍の場が少ない(これについてはまた別の機会に書きたいと思う。)ために なんとなくであってもLvが測れないのである。
(そろそろギガデイン級のユーフォニアミストも増えてくると思うが)

話がそれたが、私個人の考えとしては普通の人が努力のみで上がるレベルは25~30くらいまでだと思う。 もちろん個人差はあるものの。
なぜならレベルというものは常に向上心を持ち、集中力を持って音楽に接しなければ上がらないものだからである。 またLvが高くなるにつれ必要な経験値が多くなるが、かといって同じ時間で得られる経験値はそう多くならないのである。 (全く多くならないわけではないし、多くする方法はあるのだが)

ここで重要なことは「転職するとまたLvが上がりやすくなる」ということである。

DQⅢの勇者は選ばれた存在であるので転職はできないが、別にユーフォニアム奏者はそんなたいそうなものではないのだから(当たり前だが)、 転職はいくらでもできるのである。

ただしDQで転職できるようになるのはLv20から。楽器の場合でもほぼ同じだと思う。
そのくらいのLvに達していないと他の楽器を手にしたときに応用が利かず、結局本来の職業であるユーフォニアムにもどった時に その職歴(Ⅶ用語じゃん)が生かされないのである。

そして、完全に第一楽器を転職してしまって、その後ユーフォニアムに帰ってきてもよいのだが、 楽器の場合はDQの職業と違って「兼業」という手が使えるのである。



さあここからがマルチプレーヤーへの道のはじまり!

一度に多くの楽器をはじめてしまうとあまりに多くのお金がかかってしまい、また物理的に時間も足りなくなってしまうだろうから そこは自分の可能な範囲に絞っておいた方が賢明である。

さっき「経験値」と言う単語を使ったが、DQで誰かが転職してLv1になってもいちいちアリアハンから冒険をやり直さないように、 新しい楽器をはじめても自分がユーフォニアムで戦ってる時に近い (この割合は新しい楽器とユーフォニアムの違う度合い、個人の応用力、そして周りの環境によって違うが) 経験値がいきなり得られてしまうため、Lvは最初の楽器(ユーフォニアム)をはじめたときに比べると格段に速く上がっていくのである。

また第2以降の楽器を吹いているときに経験値を得る時、その楽器ではもちろんそのままの経験値が得られるが、 それだけでなく本業の楽器にもいくらかの経験値が得られるのである。(これも割合はさまざまだが)

© 2000 Kentaro Shimoda <shimoken@shimoken.net>

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